
精液検査とは?妊活中に男性も検査を受けることが大切な理由
妊活を始めたとき、女性は婦人科で検査を受ける機会があっても、男性は「自分は何を調べればいいのだろう?」と迷うことがあるかもしれません。
「精液検査を受けたほうがいいのかな?」
「検査で何がわかるの?」
「結果が悪かったら、自然妊娠は難しいの?」
こうした疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
妊娠は、女性の身体だけで成立するものではありません。精子の状態も、妊娠を目指すうえで大切な要素の一つです。
精液検査は、精液の量や精子の数、運動性などを調べ、男性側の妊娠に関わる状態を確認するための基本的な検査です。
妊活は、女性だけが検査や治療を頑張るものではありません。ご夫婦でそれぞれの身体の状態を知ることが、妊娠に向けた第一歩になります。
この記事では、精液検査でわかること、検査の流れ、結果の見方、検査を受けるタイミングについて解説します。
精液検査で何がわかる?主な検査項目を解説
精液検査では、採取した精液を調べ、精子の状態を複数の項目から評価します。
大切なのは、精子の数だけで妊娠の可能性が決まるわけではないということです。
1.精液量
1回の射精で出る精液の量を調べます。
精液は精子だけでできているわけではなく、精嚢や前立腺などから分泌される液体も含まれています。
そのため、精液量だけで精子の状態や妊娠のしやすさを判断することはできません。
2.精子濃度・総精子数
精液1mLあたりにどのくらいの精子が含まれているかを「精子濃度」といいます。
また、1回の射精で含まれる精子の総数も確認します。
精子濃度が高くても精液量が少なければ、総精子数は異なる場合があります。検査結果は、複数の項目を合わせて見ることが重要です。
3.精子運動率
精子がどの程度動いているかを調べます。
精子は卵子に到達するまでに移動する必要があるため、運動性も重要な評価項目です。
ただし、動いている精子の割合だけでなく、前進する動きがどの程度あるかなども確認します。
4.精子の形態
精子の頭部や中片部、尾部などの形態を評価します。
正常な形態の精子がどの程度含まれているかを確認しますが、形態の評価は専門的な基準に基づいて行われます。
形態の数値だけを見て、妊娠できるかどうかを決めることはできません。
精液検査の基準値は?数値の見方を知っておこう
精液検査の結果を見ると、数値が基準を上回っているか、下回っているかが気になる方も多いと思います。
世界保健機関(WHO)の精液検査マニュアル第6版では、自然妊娠に至った男性のデータをもとに、精液検査の各項目について参考となる値が示されています。
主な項目の下位5パーセンタイル値は、次のとおりです。
| 検査項目 | 参考値 |
|---|---|
| 精液量 | 1.4mL |
| 精子濃度 | 1mLあたり1,600万 |
| 総精子数 | 1回の射精あたり3,900万 |
| 総運動率 | 42% |
| 前進運動率 | 30% |
※WHO第6版(2021年)に示された参考値です。検査機関の測定方法などによって結果の扱いが異なる場合があります。
基準値を下回ったら妊娠できない?
ここは、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。
これらの数値は、妊娠できる人とできない人を明確に分ける境界線ではありません。
基準値を下回っていても妊娠する可能性はあります。一方、すべての項目が基準値の範囲内でも、必ず妊娠できるとは限りません。
妊娠には、精子の状態だけでなく、女性側の状態や年齢、排卵、卵管、受精や胚の発育など、さまざまな要因が関係するためです。
検査結果の数値だけを見て、必要以上に落ち込んだり、安心しすぎたりする必要はありません。
数値は妊娠の可能性を考えるための大切な情報ですが、それだけですべてが決まるわけではないのです。
精液検査はどのように受けるの?
精液検査は、採取した精液を用いて行います。一般的な検査の流れを確認しておきましょう。
1.検査の予約・説明を受ける
まずは医療機関で、検査方法や採取方法、提出方法について確認します。
精液を院内で採取するのか、自宅で採取して持参できるのかは、施設によって異なります。
2.精液を採取する
指定された方法で精液を採取します。
検査前の禁欲期間や採取容器、提出までの時間などについては、医療機関の指示に従いましょう。
一般的には、禁欲期間を2~7日程度とする方法が用いられますが、実際には受診先の案内を優先してください。
3.精液を検査する
採取した精液について、量や精子濃度、運動率、形態などを調べます。
4.結果を確認する
検査結果をもとに、精子の状態を確認します。
必要に応じて再検査や追加検査、生殖専門医がいる泌尿器科などでの詳しい評価を検討することもあります。
精液検査の結果は毎回同じとは限りません
精液検査で覚えておきたいのは、検査結果は体調などによって変動することがあるという点です。
たとえば、発熱を伴う体調不良、禁欲期間の違い、採取した精液をすべて提出できたかどうかなどが、結果に影響する場合があります。
そのため、1回の検査で数値が低かったとしても、それだけで状態を決めつけることはできません。
結果や症状によっては、時期をあけて再検査を行うことがあります。
検査結果に気になる点があった場合は、自己判断で結論を出すのではなく、医師に相談して今後の対応を考えましょう。
精液検査はいつ受けるべき?
精液検査を受けるタイミングに、すべてのご夫婦に当てはまる一つの正解があるわけではありません。
ただし、妊活を始めた段階で男性側の状態を確認しておくことには意味があります。
妊活を始めたとき
女性側の検査だけでなく、男性側の状態も確認することで、ご夫婦で妊娠に向けた状況を把握しやすくなります。
妊娠を目指している期間が長くなってきたとき
なかなか妊娠に至らない場合は、女性側だけでなく男性側も含めて原因を調べることが大切です。
一般に、避妊をせずに性交を続けても1年間妊娠しない場合は、不妊について検査や相談を検討する目安となります。ただし、女性の年齢や月経の状態、既往歴などによっては、より早い段階での相談が勧められます。
女性側の検査とあわせて確認したいとき
妊娠に至らない理由は、一つとは限りません。
女性側の検査を進めていても、男性側の状態を確認することで、治療方針を考えるための情報が増えることがあります。
精液検査で異常があった場合はどうする?
検査結果に気になる点があった場合、必要に応じて再検査や追加の評価を行います。
精液検査の結果によっては、男性不妊を専門とする泌尿器科での診察が勧められることもあります。
また、検査結果やご夫婦の状況によって、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精など、妊娠を目指す方法を検討します。
ただし、精液検査の数値だけで、治療方法が一律に決まるわけではありません。
「数値が悪いから、すぐに体外受精をしなければいけない」ということではなく、必要な検査や治療の選択肢について医師と相談することが大切です。
よくある質問
精液検査は痛みがありますか?
一般的な精液検査は、採取した精液を調べる検査です。採血や手術のような処置を行う検査ではありません。
採取方法や提出方法について不安がある場合は、事前に医療機関へ確認しておくと安心です。
精液検査の結果が正常なら、男性側に原因はないのでしょうか?
精液検査で確認できるのは、主に精液量や精子濃度、運動率、形態などです。
結果が基準値の範囲内であっても、男性側の妊娠に関わる要因をすべて否定できるわけではありません。
妊娠に至らない場合は、ご夫婦それぞれの状態を総合的に確認することが大切です。
精液検査の結果が悪いと自然妊娠は難しいですか?
検査結果だけで自然妊娠の可能性を断定することはできません。
数値の程度や他の検査結果、ご夫婦の年齢や状況などを踏まえて、妊娠に向けた方法を検討します。
男性も不妊治療のために受診したほうがいいですか?
妊娠を目指すうえでは、男性側の状態を確認することも大切です。
まずは精液検査について相談し、必要に応じて追加の検査や専門医への受診を検討しましょう。
妊活は、どちらか一方だけが頑張るものではありません
不妊治療というと、女性が婦人科に通い、検査や治療を受けるイメージを持つ方もいるかもしれません。
そのため、男性側の検査は後回しになってしまうこともあります。
一方で、男性にとっても、精液検査を受けることに抵抗や不安を感じる場合があるでしょう。
「結果が悪かったらどうしよう」
「パートナーに申し訳ない」
「自分に原因があると思われたくない」
そんな気持ちになることもあるかもしれません。
しかし、検査は誰かを責めるために行うものではありません。
妊娠に関わる身体の状態を知り、これからどのように妊娠を目指していくかを考えるためのものです。
女性側だけが検査を受け続けるのではなく、男性側も状態を確認することで、ご夫婦で状況を共有しやすくなります。
精液検査は、男性の責任を問うための検査ではなく、ご夫婦で妊娠を目指すための大切な情報を得る検査です。
不安や疑問がある場合は、一人で抱え込まず、医療機関で相談してみてください。
まとめ|精液検査で男性側の状態も確認しましょう
精液検査では、精液量や精子濃度、総精子数、運動率、形態などを確認します。
妊娠に向けた状態を把握するために役立つ検査ですが、数値だけで妊娠できるかどうかが決まるわけではありません。
今回のポイントは次のとおりです。
- 精液検査は男性側の妊娠に関わる状態を確認する基本的な検査
- 精液量や精子の数、運動性、形態など複数の項目を調べる
- 基準値は妊娠できる・できないを分ける境界線ではない
- 結果は体調などによって変動することがある
- 必要に応じて再検査や追加の評価を行う
- 妊活では女性側だけでなく、男性側の状態も確認することが大切
妊活が思うように進まないとき、女性側だけに原因があるとは限りません。
ご夫婦それぞれの身体の状態を知ることが、妊娠に向けた治療方針を考える第一歩になります。
「精液検査を受けたほうがいいのかな」「結果の見方がわからない」と感じたら、まずは相談してみましょう。
プレコンセプションケアでも精液検査を実施しています >>プレコンセプションケア特設ページ
不妊治療では精液検査を保険で実施することができます >>一般不妊治療について

医療法人社団 中林産婦人科クリニック 理事
中林レディースクリニック 院長
<資格・免許・役職等>
医学博士
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医 ほか
<メッセージ>
スタンフォード大学と神戸大学で生殖医療の研究をしてきた高い専門性を背景に、生殖専門医として確かな治療を実践してきております。当院は先進医療を行える施設として、日々不妊治療と向き合っています。
姫路駅直結のフェスタビル北館2階の全フロアに不妊治療に特化した機器を導入し、充実した設備で質の高い不妊治療を患者さんにしっかりと寄り添って実践していきたいと思っております。



